経営資源であるヒト、モノ、カネ、情報のすべてが充足されている企業などまず見当たらないでしょう。かぎられた経営資源をどこに配分するかを考えたときに、自社の弱みを克服するよりは、強みをより強化したほうが効果的であることは自明の理です。 そこで組織体制の不備を補う方法として、業務の企面、計画から運営、見直しまで、外部に委託するアウトソーシングを行う企業が増えてきました。
アウトソーシングを活用する上でまず考えなければならないことは、自社が持っている他社にはない強みや有能性 (コアコンピタンス) は何か、ということです。 ここに自社の経営資源を集中し、重点的に投資しなければなりません。逆にそれ以外の業務においては、費用対効果の観点からアウトソーシングの対象になるか否かを検討します。
アウトソーシングは、当初はコスト削減を目的とした外注化が主流でしたが、徐々に業務の質的向上や戦略の実行レベルにまで高度化されつつあります。
◎アウトソーシングに適した業務
アウトソーシングに適した業務には一般に次のようなものがあります。
①専門知識や資格が不可欠な業務
②人材育成に時間と費用がかかる業務
③時代や経営環境の変化、法律改正などによる変更が激しい業務
④時期によって繁閑の格差が大きい業務
⑤反復定型業務
⑥24時間対応の業務
⑦秘密漏洩を心配する業務
◎アウトソーシングの欠点
一方、アウトソーシングの欠点としては次のようなものが挙げられます。
①人にノウハウがつくために、社内にノウハウが蓄積しづらい
②業務の移管コストが必要
③社員とのコミュニケーション不足からくる情報交流不足
④社員の落ちこぼれ化
◎導入事例
典型的な導入事例をひとつ紹介しておきます。
法人税の決算と申告まで行うベテラン経理社員が退職したために、日々の起票などの経理業務はパートで対処。月次の試算表と決算・申告書の作成、経理業務の監査は会計事務所に依頼。以前は月30万円程度の結与を経理社員に支払っていたが、アウトソーシングを行ってからは、月15万円程度になった。
◎アウトソーシングとネットワーク
アウトソーシングを成功させるためには、アウトソーシングする先の人や会社が、こちらの会社の仕事を大切に思ってくれていなければなりません。単にお金を稼ぐための仕事と割り切っているのか、自分の会社の成功とこちらの会社の成功を同じ意味に捉えているのかで、結果は大きく違ってきます。 アウトソーシングをするときも受けるときも、相手が普段から付き合っているネットワークの一員であることがもっとも望ましいといえます。
最近は、異なる会社の人や立場の違う人が、ひとつの職場でともに仕事をすることが増えています。 経営者は社内のみならず、アウトソーシング先を含め、より広い範囲の人に対してリーダーシップを発揮する必要があるのです。その場合、タテ型の指揮命令系統だけのリーダーシップでは、人はついてきません。 アウトソーシングの広がりとともに、リーダーシップのスタイルも変わらざるを得ないのです。











