最近、新聞・雑誌などで「企業の社会的責任(CSR=Corporate Social Responsibility)」がよく取り上げられています。大手企業によるリコール隠しやマンション、ホテルの構造設計書の改ざん、倒産企業の粉飾決算、総会屋の関与など、相次ぐ不祥事、不正事件は、すべて企業の社会的責任が問われている事件です。
企業が法令遵守(コンプライアンス)や企業倫理(ビジネス・エシックス)、CSRに注力する一方で、企業の社会的責任は唯一、利益を出すことだ、という反論も聞こえてきます。
ノーベル経済学賞受賞の経済学者ミルトン・フリードマン(自由主義経済の守護神)は、その論文なかで、自由主義経済においてビジネスの唯一の社会的責任は利益の増加にある、と述べています。
ただし、この主張は高度に情報化された現代経済社会においては極論にすぎるといわなければならないでしょう。
なぜならば、企業に倫理観が欠如し、社会的責任の意識が希薄であれば、唯一の社会的責任である利益をあげることはできず、それどころか企業存亡の危機に陥ることにもなりかねないからです。何らかの不祥事が生じた場合には、ブランド価値が崩壊してしまうのです。
ところで企業の不祥事は、これまで国内外を問わず、内部告発によって発覚したケースが大半であり、働く人や消費者、国民も企業の反社会的な動きにいっそう目を光らせるようになっています。つまり、社会の企業倫理に対する考え方、社会通念が変化しているのです。
企業は規模の大小を問わず、従業員、顧客、株主、取引先などの直接的な利害関係者のみならず、地域社会を含めた社会との協調、共生が求められており、これからの企業にとっては、社会との間に共感と信頼の関係を築くことが永続するための鍵となるでしょう。
◎コーポレート・ガバナンス
コーポレート・ガバナンスとは、企業統治のことです。企業は誰のものかという命題は、株主や経営者、従業員など企業を取り巻くさまざまな利害関係者(ステーク・ホルダー)の関係を考えることを意味します。利害関係者の利害調整を円滑に行いつつ、企業を効率的に運営するよう規律づけなければなりません。さらに、利害関係者の相互牽制を有効に活用し、経営の健全化をはかることが大切なのです。
◎コンプライアンス
法律や社会的な常識・通念を厳密に守ること(法令遵守)をコンプライアンスといいます。
バブル経済崩壊後、証券会社の不祥事や、金融機関の総会屋への利益供与などが相次ぎました。こうした事件を背景に、コンプライアンス活動を強化することが求められています。
◎コーポレート・シチズンシップ
企業も個人と同じく、一市民、つまり企業市民として社会に貢献していかなければ生存と成長を確保できないという認識が、社会的にも企業の間でも、いまや支配的になっています。これをコーポレート・シチズンシップといいます。よき市民として存在しようとする企業の認識に基づきメセナなどのフィランソロフィー(慈善)の考え方が浸透してきています。











